叢書20世紀の芸術と文学 前島良雄【著】
ISBN978-4-87198-572-7
A5・上製・312頁 本体・2600円(税込2730円)

不遇でもなく、死の影に脅かされたものでもない、
輝ける音楽家人生。
作られた神話、あるいは俗説・通説を
徹底的な資料の検討によって覆す。
かつてないマーラー論にして、スリリングな評伝。
【本書で覆される、通説、俗説、伝説、神話…】
・マーラーは不遇だった。
・第一交響曲は小説『巨人』に基づいて作曲された。
・第六交響曲第一楽章の副主題はアルマを描いたものである。
・第七交響曲のタイトル《夜の歌》はマーラーが付けた。
・第八交響曲の《千人の交響曲》はマーラーが認めた題である。
・マーラーは第九のジンクスに怯えていた。
・マーラーは長年患っていた心臓疾患が悪化して亡くなった。
・ベートーヴェンの第六番をニューヨークで初めて指揮した。
・そして、最大の虚構――マーラーは死の影に脅かされていた。
《なぜ、何度も何度も「マーラーの時代が来た」と言われるのか。……。
そして、「マーラーの時代が来た」という表現が飽きることなく繰り返し使われるということは、「マーラーは世に受け入れられていなかった」「マーラーは不遇であった」「マーラーの生涯は死の影に脅かされたものであった」といったたぐいの、マーラーに関するネガティヴな「神話」が絶えず再生産されていることに対応しているのであろう。
そのような、マーラーに対してのネガティヴな「神話」を検証していきたい。また、併せて、そのような「神話」がどのようにして作られたのかということも多少なりとも解明できればと思う。――「はじめに」より――》
前島良雄(まえじま よしお)
一九五五年名古屋生まれ。マーラー研究家・翻訳家。国際マーラー協会会員、日本シベリウス協会維持会員。
訳書に『マーラー 交響曲のすべて』(コンスタンティン・フローロス著、前島真理との共訳、藤原書店)、『マーラーの妻への全書簡』を翻訳中。